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活動報告ブログ - 2021年1月

2021年01月01日(金)

”こんな田舎”から『おしゃれな田舎‼』

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。ありがとうございました。

今年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 さて、新型コロナウイルス感染症をきっかけに、様々な分野で変化が生じています。これからの世の中がどう変わり、地域はどんな未来が待っているのでしょうか。現状を鑑みながら、質問形式で私たちのふるさとの将来像を語ってみましたので、ご紹介します。
インタビュアー:佐々木圭 兵庫ジャーナル社編集局長 (小西たかのり県政だより№54より)

佐々木:新型コロナが世界中で猛威をふるい、社会や人々の生活のあり方が変わろうとしています。

小西:コロナ禍でいま、「新しい生活様式」の実践が求められています。いわゆる3密(密閉・密集・密接)を避ける生活ですが、こうした状況の中で、ウィズコロナ時代を生き抜こうと、私たちの日常でも変化が見られます。
まず、テレワークやオンライン会議などリモートの働き方が推奨され、ネットショップの活用など暮らし方にも変化が起こりました。デジタル通信技術を活用して働き方を工夫すれば、住む場所は選ばないという社会風潮です。この考えの延長線に、過密する都市から、人口が分散する多自然地域への関心の高まりがあります。リスクを避け、ゆとりのある暮らしを楽しもうとする世帯が増えており、この地方回帰の機運は丹波篠山市のように都市に近い場所ほど人気が高いようです。

佐々木:東京にある兵庫県への移住相談窓口では相談件数が3~5倍に増加し、丹波篠山市内でも移住相談が増加傾向にあるそうです。

小西:これまでも地方に移住を希望する人はある程度いましたが、それがコロナ禍で大きくふくらんだともいえます。
 県が2018年10月に策定した将来指針「兵庫2030年の展望」と軌を一にする流れで、この指針で県は従来から、本格的な人口減少や少子高齢化といった環境変化に対応するため、働き方の多様化で住む場所に縛られない時代の到来、二地域居住など自分の時間を快適に過ごせる環境への移住などを盛り込んでいます。

佐々木:都市住民を地方に受け入れる準備ができていたということですか。

小西:指針はあくまで将来ビジョンであり、具体の取り組みはこれからになります。コロナ禍で地方回帰の流れが加速しましたが、これを取り込むための羅針盤は示されているわけです。今後に必要な対策は受け皿づくりの強化で、これまで以上のスピードが求められているというのが現状です。
 県内には多自然地域が多くあるので、他の地域に負けない魅力づくりやリモート環境の整備など受け入れ体制の充実をいかに効率的・加速度的に進めていくかが地域間競争に勝つ一つの要素だと言えます。

佐々木:移住者の受け入れにあたり、市民の意識変化も重要になってきます。

小西:兵庫県が制作したポスターで、丹波の場合は「いつの間にかおしゃれな田舎」というタイトルを打っています。これは都市部のデザイナーによるキャッチコピーですが、都市圏からはそう見られているという証しとも言えます。
「おしゃれな田舎」というと、住民の中には首をかしげる人がいるかもしれません。しかしいま、都市から憧れと期待の眼差しで丹波篠山を見ている人がふえています。

佐々木:「田舎者」という侮蔑した言い回しがあるように、「田舎」にはネガティブなイメージを持つ住民もいます。

小西:私もその観念はあり、ステレオタイプの「田舎者」像に眉をしかめることもあります。しかし近年、都会で生まれ育った人に、「田舎」イコール「自然と歴史のある風土に囲まれたゆとりある空間」という、従来と異なる見方を示すケースが増えているのです。古民家への注目の高まりや地方回帰の流れはその裏付けで、コロナ禍の生活様式の変化がそれを後押ししているのです。

佐々木:「田舎」のニュアンスが変わってきているのですね。

小西:これが重要な部分で、私たちは都市部から「おしゃれな田舎」と憧れを抱かれていることを十分に意識しなければならないし、従来型の「田舎」観を払拭することも大切です。
 例えば、「囲炉裏」の概念があります。伝統的な日本の家屋には囲炉裏がありましたが、現在は囲炉裏だけで暖をとる家庭は皆無でしょう。しかし、都市部の移住希望者にとって、古民家に「囲炉裏」があることが人気の要素となり、現在の生活機器があるうえに、わざわざ囲炉裏を設置するケースがあると聞きます。

佐々木:昔の囲炉裏のイメージからは、大変な変化ですね。

小西:皆さんは昭和31年発表の「かあさんの歌」をご存じですか?この歌は望郷と哀感が巧みに表現され、そのツールの一つに「囲炉裏」が出てきます。ここでの「囲炉裏」は、田舎の前近代的な暮らしの象徴として描かれています。しかし今、囲炉裏は田舎暮らしの「不便の象徴」から「ゆとりの象徴」に進化したのであり、これは囲炉裏に限らず、梁や縁側、かまど、さらには田園風景など空間にまで、実用以上の価値が見出されています。

佐々木:丹波篠山市でも都市から移り住んだ住民が増えています。

小西:市名変更を反対する意見の中に、「丹波や丹波篠山は不便な田舎というマイナスイメージがある。子供にそれを背負わすのはかわいそう」との意見がありました。しかし丹波篠山市の誕生は、このネガティブ観に終止符を打とうと呼びかけるきっかけにもなったのです。
 戦後の高度経済成長期に植え付けられた消極的な「田舎」から明るい「おしゃれな田舎」へ、私たちは新しい世界に立っているのだと実感していただきたい。「こんな田舎」と蔑んでは現状が見えないし、子供たちも戻ってきません。丹波篠山市は、明るくおしゃれな田舎として都市とは異なる生活や文化が享受できる「素晴らしい故郷」なのです。

佐々木:令和元年5月から、市名が丹波篠山市に変更され、京都を含む旧丹波国の枠組みでは歴史的な一ページを刻みました。また、最近は観光客が増加しているように思えます。

小西:まず市名変更で、一つの大きな変化がありました。丹波篠山市となったことに伴い、農林業分野で産地表示が厳正化されたのです。市名変更する前、「丹波篠山特産品」黒枝豆の贈答用の箱は「丹波市」の某ホームセンターでも普通に売られていました。これは私の県政だより(42.43合併号)でも、「混乱」例として紹介しました。しかし現在、ここでは箱を購入する際に、本当に丹波篠山市の生産者か否かを確認するため、身分証などの提示が求められることになっています。こうなると他市の生産者が丹波篠山ブランドに便乗しようとしてもできません。こうした積み重ねが「丹波篠山ブランド」の価値をさらに高めていくのでしょう。

 
 また、市内の観光客入込数はこの10月だけで58万人にも上っています(市観光協会調査)。毎年秋は観光シーズンですが今年は別格で、移住相談も大きく増加しており、認知度が急上昇している現状に驚いています。

佐々木:ポストコロナ社会が追い風となって新しい丹波篠山へと誘っているのですね。

小西:丹波篠山ブランドは市名変更で大きく成長しつつあり、「田舎回帰」で私たちが守ってきたふるさとが輝きはじめ、価値が見直されていることに心の底から喜びが沸き上がってきます。
この機を逃さず、ピンチをチャンスとして大きな波をしっかりとつかみ、暮らしに、文化に、そして丹波篠山に確固とした誇りを抱き、昂然と胸を張って明るい未来を次の世代の子供たちに継承したい、そのレールはすでに敷かれているのだと嬉々とした思いです。
 また、ICT(情報通信技術)を活用したスマート農業で少子高齢化や人手不足に対応するなど地域課題を解決していくことも議員の大きな役割で、それが丹波篠山ブランドを高める礎になるのだと重責を感じています。

 

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